院長挨拶
新たな命を迎える瞬間に立ち会う奇跡
命を育み、命を守りきるという責任を日々胸に刻み込みながら―
当たり前が決して当たり前ではないという現実の狭間で―
「妊娠をしたらあとはハッピーエンドなお産が待っているだけ」とお考えの方も多いのではないでしょうか?実はすべての方が決してそうではないというのが現実です。日々、命が生まれる瞬間に立ち会う身だからこそ思い知らされるのです。「出産は奇跡の連続である」という真実に―。統計学上、妊婦の200人に1人は胎盤剥離が起きると言われ、その他にも肺梗塞やエコノミー症候群など妊婦の生命を脅かす重大な病気は身近なところに潜んでいます。確率的には数百人に1人、1000人に1人と遠く感じる話かもしれませんが、必ず一定数の方はそういう結末を迎えられているのです。“母子ともに無事に生まれる”という至極当たり前のことですら、現代の医学をもってしても決して当たり前とはいかないのが今も昔も変わらない“出産のリアル”です――。
なにより母子ともに健康で出産をするということ
そんな中で私たちができることは、そういう方々と出会った際に万全の受け入れ態勢を取れることと、提供する具体的な治療そのものがすべてです。加えて出産は24時間体制で挑まなければならない過酷な現場です。『命を預かる』という責任において私たちは全身全霊をかけて全うし、患者さんに寄り添い、ともに考え続けられるクリニックでありたいと願っています。
小回りの利く機動力と経験に基づく高い判断力は私たちの誇り
小さなクリニックながらも、その機動力と経験に基づく高い判断力は私たちの誇りです。初めての出産を迎えられる方はもとより、経産婦さんもみなさんが等しく不安な気持ちを抱えていらっしゃいます。その思いをしっかりと受け止めながら、個別性高く対応することが当院の目指す場所です。早朝深夜の緊急時にも最大限に迅速かつ的確に対応することで、当院では過去全例における胎盤早期剥離の母体と胎児を救いました。その限りなく高い精度は全国の学会でも報告され称賛いただいたほどです。とはいえ先に述べたとおり、胎盤早期剥離は200人に1例は必ず起きるものと言われているほど誰にでも起こりうるリスクです。繰り返しになりますが対応の仕方と受け入れ、治療法そのものが全てなのです。高次医療機関に比べれば最新鋭の機器が常に取り揃っているとは限りませんが、当院ではできる限りの最良の方策を用いて母体と胎児を力強くサポートしています。不安を越えたその先に大きな喜びがあるからこそみなさんが頑張られています。本当の幸せの形とはどこにあるのか―その答えをともに模索しながら今日も患者さんと向き合っています。
社会の縮図とも言える出産の現場
さらに現代の妊婦さんを取り巻く環境は、時代の変化とともに大きく様変わりしています。特に孤独感を抱える方は増加の一途にあり、まさに社会の縮図がそのまま出産の現場にも表れています。妊婦だけでなく、ひいては女性の生き方そのものにおいても私たちが支えになれるような、そんなクリニックでありたいと心から願っています。使い古された言葉ではありますが、『家族のように見守る』という一心で私たちは日々の業務に実直に取り組んでおります。患者さんからご相談をいただいた際には、それをお受けしたスタッフから全てのスタッフへと情報が共有化され、皆が等しく同じクオリティでお答えできるような環境づくりにも意識高く取り組んでおります。
「命を育む」「命を助ける」「家庭環境を整える」私たちができる最大限のことをこれからも探し求めて―
慈愛に満ちた表情で赤ちゃんを抱く患者さんの微笑み、突然重症化した患者さんが母子ともに健康な状態にまで回復し笑顔で退院されていく後ろ姿を見送る際などには、この上ない大きなやりがいと喜びに満ち溢れます。「命を育む」「助ける」「家庭環境を整える」といった部分に関して私たちがもっと手を差し伸べられることはないのか、私たちのその模索はこれからも続きます。あくまで医療としての安全性を第一に、「命を守りきる」という責任を胸にこれからもすべての患者さんのために力を尽くしてまいります。
資格
- 医学博士
- 日本産婦人科学会認定医
- 奈良県立医科大学非常勤講師
- 母体保護法指定医
- 日本医師会認定産業医
- 日本周産期医学会・新生児医学会
新生児蘇生インストラクター認定医
略歴
- 1954年生まれ
- 兵庫医科大学卒業
- 奈良県立医科大学産婦人科学教室入局
- 奈良県立医科大学講師・学位取得
- 赤崎クリニック院長
- 奈良県医師会理事
- 奈良県産婦人科医会会長
- 奈良県立医科大学臨床教授